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力は一体性の中に――- マルチン・プジダチ次官とのインタビュー

22.04.2021

「共同体――よし、投資の存在――よし。しかし、技術移転や重要なインフラにおいては、ある程度の注意を払うべき。ポーランドとEUの安全保障は、経済的利益――仮りにそれが最大のものであろうとも――について考えることよりも先行すべきです。」 2021年1月24日 ボイム研究所

Marcin Przydacz

「共同体――よし、投資の存在――よし。しかし、技術移転や重要なインフラにおいては、ある程度の注意を払うべき。ポーランドとEUの安全保障は、経済的利益――仮りにそれが最大のものであろうとも――について考えることよりも先行すべきです。」――ポーランドのアジア外交について、マルチン・プシダチ次官と話し合うのは、パトリツィ・ペンドラコフスカとクシシュトフ・M・ザレスキ

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パトリツィア・ペンドラコフスカ――新しい年の始まりは、総括にふさわしいときです。次官は、2020年のアジアにおけるポーランド外交政策の最も重要な成果は何であったと思われますか?

マルシン・プシダチ――まず、私をここにお招きいただき、意見交換の機会を提供していただいたことにお礼申し上げます。私は専門家のみなさまと連絡を取り合い、ポーランド外交の優先順位と行動について話し合うことを、重要であると考えています。私は、ポーランドにおいては、アジア情勢、アジアをめぐる国際的文脈、それに伴う課題については、あまりにも議論されることが少ないと考えています。だからこそ、このような出来事、インタビューの一つ一つは、21世紀の大陸であるアジアに関心を集めるために投じられる一石なのです。

アジアの各国経済と国家の役割は、経済的意味でも政治的意味でも、拡大しています。それ故に、ポーランド外交もまた、この発展に注力しています。外交や国際政治の展開の意味で、昨年は標準的なものではありませんでした。基本的に、私たちは2020年の初めからパンデミックに直面しなければなりませんでした。この経験によって、政策立案者の国際問題への関心は、主に国際関係から国内の状況やヘルスケアに移行を迫られました。しかし、私が強調しておかなくてはならないのは、私たちのアジアの相手国との良好な関係が、パンデミックの最初の数週間を通して私たちを助けたということです――当時は、できるだけ早く個人の保護具、医療機器、医療機向け半製品を手に入れることが緊急の必要とされていました。

もう一つの課題は、物流と渡航便の許可を得ることでした。私たちが長年にわたって築いてきた信頼は、次々と立ち現れる問題の解決において実を結びましたが、その最良の実例は、とても高い評価を受けている、外務省の調整による「国へ帰ろう」キャンペーンです。私たちは、外交を強化し、時事問題を追究し、二国間関係を発展させ、アジアの相手国との積極的な対話を維持しています。

 

PP-―パンデミックの前に何が実現されていたのでしょうか?

MP-―2020年は、私たちの外交関係の面で非常に活発なものになるはずでした。年は、マテウシュ・モラヴィエツキ首相の日本訪問で始まりましたが、それは、政府首脳がとても有効な協議を行った、重要な訪問でした。残念ながら、アジアにおけるポーランドのさらなる活動のための広範な計画は、パンデミックによって中断されました。とはいえ、私は、その発生の直前に、外務省を代表して、主に政治的協議のためにアジアの最大の国のいくつかに多くの訪問を行ったことにも触れなくてはなりません。私が申しあげているのは、冬に訪れる機会があった日本と中国です。

東京では、特に南シナ海と東シナ海地域における東南アジア安全保障の状況について議論しました。もちろん、経済的協力は、ポーランドと日本の関係全般において重要なテーマであり、ポーランドにおける日本の投資活動は私たちにとって非常に重要です。

また、中国の相手国との協議においては、貿易交流の問題とポーランド製品の中国市場へのアクセスに残念ながら存在する、封鎖の問題がカギとなる意味を持ちました。17 + 1の枠組みでの協力と昨年4月に予定されていたサミットはパンデミックのために行われませんでした。中国という相手国との議論の追加的要素は、既存および計画されている輸送ルートにおいてポーランドが有している、地理上、そして制度構造・物流上の強みでした。私たちは、世界貿易が海上輸送によって支配されており、私たちの見解によれば、今後もその位置に留まること、一方ユーラシアでは陸上輸送回廊の役割が高まることを十分に理解しています。こうした背景から、私たちは有意義な役割を果たすよう運命づけられています。それは、私たちが安定して発展し続ける国家であることにもよります。私たちが、EUの国境国家であることは、追加的な利点です。

EU・中国関係を含む、多方向的な次元においてもまた、ポーランド・中国関係の背景を成すのは、価値観と人権です。私たちは私たちの中国という相手国と、この国で起きている出来事について、ときに異なる見解と評価を持っています。ポーランドは、欧州連合(EU)と大西洋横断共同体の一員であり、それらの礎石は、個人の自由と人権の尊重を含む価値観の共同体です。私たちの中国という相手国はこれを知っており、彼らは私たちの政策の価値論上の源泉を理解しています。

私たちの二国間関係における常なる課題であったのは、貿易流通における不均衡であり、ポーランド・中国関係における貿易赤字を減らす必要性でした。私たちは皆、中国からの輸入量が当社の製品の輸出に比べて膨大であることを認識しています。私たちは、ここでも例外ではありません。世界の多くの国は、強い経済を持つ国を含め、このような問題に直面しています。それはしかし、私たちの輸出を増やす義務から私たちを解放するものではありません。商品の輸送もまた、私たちにとって絶好の機会です。結局のところ、ポーランド国境を越える製品の一部は、次に他の国に再輸出され、それによって、ポーランド企業もまた利益を得ているのですから。

価値観や機会についてお話しするとき、ここでは、中国市場へのアクセスを増やすことがカギとなることを忘れてはなりません。中国は世界貿易機関(WTO)のメンバーです。従って、その規制によれば、中国市場はもっとオープンであるべきなのです。中国は部分的に非関税障壁を適用していること、それによって、大規模で吸収性の高い市場という、彼らにとっての最大の利点へのアクセスを規制していることを理解しなくてはなりません。ここでもまた、政治的な決定が必要であり、それは、活発な外交と最高レベルでの協議によって策定可能なのです。

PP――中国以外に、他のどの相手国が私たちにとって特に重要ですか?

MP――私は、すでに日本について言及しましたが、韓国もまた私たちにとって重要です――これは、アジア最大のポーランド投資国の一つです。私たちは、協議を行い、ポーランドへの投資に対する関心をさらに高めるために努力してきました。

こうした背景において、ポーランドで最大の物流・インフラ投資である中央通信港(CPK)をめぐる協議に触れないわけにいきません。戦略的相手国の選定に関する決定はすでに下されました。空港は韓国という相手国との協力で建設されます。

しかし、このことによって他の可能性が閉ざされるわけではありません。私たちは今後も韓国、日本、そして世界の他の国々に、こうした物流・輸送分野への参加に関心を持っていただくよう、勧誘に努めています。空港自体は、ポーランドの移動性拡大計画の一部にすぎません――例えば、そこには、高速鉄道の建設が加わります。

加えて、私たちは、東南アジア(ASEAN)相手国との対話の活発化を目指しています。これは地政学的に、そして、国際政治と世界貿易の観点から、とても重要な地域です。このような協議はむろんすでに行われていますが、今年は旅行の機会がないため、主にオンラインで開催されます。ここ数か月、私はベトナムやインドネシアなど、この地域の相手国と集中的な対話を行ってきました。2019年と2020年の変わり目にはすでに、私はタイを訪問しましたが、そこでの主要なテーマは、経済的協議でした――ここには、防衛産業の協力も含まれます。私たちはまた、バングラデシュとミャンマー訪問を実現しました。ミャンマーは、国内に発生する諸問題にもかかわらず、とても興味深くオープンな市場です。これらの訪問の間に、重要な協定と協力をめぐる覚書が署名されました。

インドは世界最大の民主主義国家であり、大きな可能性を持つ巨大な市場です。インドは私たちの重要な経済相手国であり、私たちは良好な関係を維持するために全力を尽くしています。インド亜大陸にも、ポーランドはいくつかの投資を行っています。私たちはむろん、ナレンドラ・モディ首相の下でのニューデリーの独断的政策には目を光らせており、パキスタン及び中国との関係の緊張、及び米印とインド・EU関係の緊密化、及びインドがQuad(四国間安全保障対話)の一員であるという事実に着目しています。私たちはこれらの動向を十分に認識しており、より広範な次元における潜在的な協力を行う分野の有無を分析しています。私は、ワルシャワ・ニューデリーの関係は、今後数か月か数年の間に活発化すると信じています。

クシシュトフ・M・ザレフスキ――次官は当然ながら、大国、そして中国とその成長という、最大の地政学的課題に言及されました。私たちは、もちろん、こうした貿易発展の見通し、そして少なくとも貿易の一部はポーランドを通過するという事実にとても喜んでいます。しかし、2009年以降、中国市場――特に原材料輸出――に自らの経済成長を負ってきた、オーストラリアの例を挙げたいと思います。質問は次の通りです――中豪関係のような関係は、急速に悪化する可能性があること、そして、直截に言って、中国という相手国には、例えば、特定の国々を米国同盟から切り離すといいう、政治的目的のために貿易を使用する傾向があることに、不安を感じられませんか?

MP――たしかに、ここ数か月・数年、私たちは、中国の役割が増大し、北京の外交政策がより断定的になっているのを、目の当たりにしています。それは、端的に中国が大国として成長していることから、自らの本質的な役割を文化的・政治的に自覚していることに起因するだけではありません。世界経済における中国の役割は毎年成長しています。

中国エリート層の、世界政治における自らの役割に対する意識も高まっています。その結果、中国はより積極的な政策を追求することをめぐる、心理的な障壁を超えることができるのです。その背後には、強力で良好に機能する国家機構が控えているだけでなく、何よりも、高い次元で機能する経済が控えています。

世界の生産の大半は、中国に拠点を置いています。中国の内部市場の問題は、世界経済にとって協力強化への誘因の一種です。そして、現実に、経済政策のすべては、政治的影響力をふるう道具となっています。

中国沿岸のアジア太平洋地域における緊張には、原因がないわけではありません。私たちはこれらすべての動向に目を配っています、そしてこの文脈において、ワシントン・北京間の緊張は、おそらく世界のすべての国にとってそうであるように、当然ながら私たちにとっても懸念事項です。

私たちは、緊張ではなく、より多くの対話と可能な協力を望んでいるのです。私たちポーランド人は、広義の西洋世界の一部、EU大西洋の家族の一員です。近年になって貿易の自由、市場アクセスの自由、航行の自由のうえに、そして、国際的に国際機関の活動に基づいて構築されたこの世界は、さらなる働きを行うべきである、と私たちは確信しています。もちろん、私たちは、中国の役割が高まっていることを認めています。その一方で、協力は私たちが大切にしている基本的な原則・権利・価値観を無視して行われるようなことがあってはなりません。

オーストラリアそれ自体の話題に戻ります。確かに、オーストラリアは長年にわたり、特に以前の政権下で、中国との協力に対して徐々に開放的になっていきました――この開放性が行き過ぎているのではないかという、文化的・政治的に類似した国からのあらゆる種類のシグナルが発せられていたにもかかわらずです。一方で外国からの投資の強い存在があり、もう一方で市場が開放的であることは、経済の深い依存性の原因になります。政治の進路を変えたいという願望がある場合、そのような依存は結果として一種の制約となります。それ故に、私たちポーランド人は、あらゆる可能性に対して広範に開放する、この種の協力モデルに同意することは絶対にありません――その望ましくない効果は、己れの政策の統率力の一部を失うことだからです。

協力――よし、投資の存在――よし。しかし、技術移転や重要なインフラにおいては、ある程度の注意を払うべき。ポーランドとEUの安全保障は、経済的利益――仮りにそれが最大のものであろうとも――について考えることよりも先行すべきです。

オーストラリアは数年前まで、やはり外部プレーヤーの影響下で、クワッド協力とインド太平洋の概念に、かなり保守的なアプローチを取っていました。今日では、その地域において同様に考える国家間の協働を増大させることに関する、より深い議論が行われるようになっています。私は、これがオーストラリアや中国を含め、私たち全員にとって、教訓になることを願っています。協力は、一定の原則、国家間の信頼構築に基づくべきであり、経済的優位性の利用に依るべきではないのです。

KZ-―現在、中国の港の入り口には、数十隻の船がオーストラリア産石炭を積載したまま停泊しています。次のような場合を思い描いてみましょう。中国がポーランドへの巨大な輸入のバランスをとろうとしている製品の一つは、私たちの巨大企業(KGHM)から提供される銅です。純粋な仮定としてですが、これらの船に積まれているのが石炭ではなく、ポーランドまたはチリの銅だったら、私たちの答えはどのようなものであるべきだと思いますか?

MP――私は、それが一種の思考実験、中国との関係の代替シナリオを作成する試みであると理解します。

第一に、私たちはそのような推測がシナリオに留まるように、できる限りのことをしています。これは秘密ではありませんが、外ならぬ非関税障壁のために、ポーランドから出る途中でコンテナが立ち往生することもあるのです。私たちは、このような現象を防ぐために継続的にこれを監視し、それが発生した場合、それらを解決しようとします。これは難しい作業です。ある種の問題は「水位以下」での解決、すなわち、それがメディア空間に表れないように努めます――そうなってしまうと、端的にいって、ずっと困難になるからです。相手国双方が硬直化し、対話ははるかに困難になります。私たちの外交は静かに、そして効果的に働くのです。この種の打ち明け話では、一定の一貫性を維持し、米国を含む西側相手国とこれらの問題について共通の声で話すことが重要です。

具体的な事柄に戻ると、協議において私たちはむろん、17 + 1の枠組みを示します。中国は、自分たちはこの協力の深化に関心がある、この種の協力は一定の原則と予測可能性に依存すべきである、と通告しています。ポーランドの果たすべき役割は大きい――外ならぬポーランドで、この枠組みが生まれたからです。特定の貨物の封鎖に起因する問題に際しては、非対称性は当然のものながら、私たちは常に、外交的手段によってその非対称性を排除できるような可能性を与えてくれるような論拠を探そうとしています。中国はより小規模な経済よりも明らかな優位性を保っていることは、記憶しておかなくてはなりません。こうした優位性は、より小規模な経済間の協力、国家間の共通の立場、および一貫した政治的シグナルによって排除できます。この場合、EU大西洋共同体には、活躍の範囲がたくさんあります――ワシントンとブリュッセルの両方と継続的にそのアプローチを調整するように、ときには断固として、いや何よりも常に一貫して、私たちに不利な行動に対して反応するように促すことです。私たちの国々は個別では、米国、ドイツ、その他のいくつかの主要国は別として、中国に対して弱い立場にあります。私たちの強みは団結です。統一は信頼と長年の協力を通じて構築されます。仮りに、一部の国が、他の国を顧みずに中国との関係を構築しようとすると――実際にそのような事例がありました――、しかも、中国側の断定的な政策に直面し、慌てて団結と協力を求めるようなことになると、この種の枠組みは後に実現困難となります。

この理由から、私たちはEUフォーラムにおいて、私たちの共通戦略の構築に積極的なのです。だからこそ、私たちは、広義の西洋世界のより深い協力を支持します。私たちはまた、例えば、オーストラリア及びニュージーランドに、文化的・政治的に私たちに近い国として、参加を求めています。

PP――ヨーロッパの大中規模諸国、例えば、フランス、ドイツ、オランダなどは、自らのアジア太平洋政策を再既定の最中です。ポーランドはアジア政策を再既定しますか?

MP――絶えず変化する現実は、私たちがたえずそれに適応することを求めています。アジアの役割の増大は、国家レベルとEUレベルの両方で政策を適応させるよう迫ります。私たちは今日すでに、アジアに関する戦略的文書についていえば、EUレベルで作業が行われているのを見ています。ポーランドはEU加盟国として、その最終的な内容に影響を及ぼしたいと考えています。私たちの感じ方と見方もまた、これらの文書に反映されるべきです。アジアに関する欧州のアジェンダ設定を作成する際には、私たちの戦略的アイデアやアジアに対する考え方も含まれているべきです。ここでは、急かすのは適当な指示ではありません。アジアに対する国家政策の建設は、EU戦略と並行して進み、ある程度、結び付いていなくてはなりません。今日の私たちのインタビューから明らかなように、ポーランドには明確に規定された自らの権益があり、アジアに対する然るべき戦略を持っています。これらのアイデアや取り組みの一部は、関係文書に反映されています。このような文書は、中国、韓国、日本など、個々の二国間関係に関して、既に運用されていることを認識しなくてはなりません。これらの国々は私たちの戦略的相手国であり、私たちはこの種類の戦略を持っていますが、私たちはまた、常にそれを更新し、構築しています。

アジアの役割が拡大しているため、ポーランドの政策もまた、よりアジア太平洋志向であるべきです。特に私たちにとって重要な経済的文脈において、または、例えばデジタル化のような安全問題や、世界的な問題全般において、課題への回答を探ることにおいてです。例えば、気候に関する議論全体は、アジアに言及しなければ、深い意味を成しません――それは、アジアには排出量が少ないとは呼び難い経済が機能しているためです。

ポーランド政府では、アジア政策に関するこの絶え間ない適応と分析プロセスが進行中です。私たちは、中国との戦略的関係のために、閣僚間チームの会合を含む詳細な内部協議を行い、中国との分野協力に関する意見と情報を交換しています。私たちが欧州レベルでお話ししてきた結束は、国内レベルでも重要です。私たちは、一つの官庁がある活動を行い、別の官庁が別の行動を行うような状況が起こらないようにしています。私たちは、私たちの政策を策定し、一致させています。

KZ――できれば、ここで新しく作られつつあるEU戦略の話題をもう一度提起したいと思います。ポーランドの観点から見て、このような戦略に含められるべき点として、3つの最重要点は何ですか?

MP――EUのインド太平洋戦略は現在議論中であり、多くの利害がその形態に影響を与えています。最も重要なことは、個々の国家の自己中心的な利害によって、EUが揺らぐのを許さないように、ヨーロッパの結束を維持することです。欧州の大国間では、自国の利害に照らして、アジアの最重要相手国との協力を構築しようとする、一定の傾向があります。大きな市場、大きな投資可能性と、アジアで富裕になりつつある中産階級は魅力的です。一方、例えば中国は己れの優位性を認識しており、やはり、己れの二国間での利害を展開できるようになることを考えています――中国の政治的・経済的優位性は、彼らが目標を達成する可能性を与えているからです。これらのすべてが、EU、いや実際にはその加盟国一つ一つの弱体化の危険をもたらします。これは、防ぐべきです――それ故に、私たちはEU内のより大きな協力とより大きな結束を主張します。これを助けるだろうと思われるのは、例えば、中規模・小規模諸国を含むできるだけ多くのEU加盟国が、アジアに向けた新戦略の実施に現実的に関与し、徐々に関与を増やすことができるように図ることです。これにより、ヨーロッパと世界のその地域(アジア)との協力の恩恵が、より均等に広がることができるからです。この戦略は、特定の国の利害のみに奉仕するものであってはなりません。

第二に、大西洋を挟んだ協働を維持することが重要です――広義の西洋世界の家族の枠内で協力すればするほど、私たちはより強くなるからです。同盟国間の相違を生かす試みは、近年、多くの国のアプローチの特徴となっています。私たちは、文明的・経済的な面においても、自らの優位性を維持するために、アジア情勢を含む米国との協力を発展させる努力をすべきです。ポーランドは、特に「法と正義」政権になってから、EU・大西洋協力の深化を提唱してきました。それ故に、ジョー・バイデン大統領によるEU・大西洋対話強化についての発表を嬉しく思います。ポーランドと周辺地域の国々は、この分野で積極的な主体であり続けるべきです。

第三に、EUとアジア諸国との関係についていえば――ここでは、主に中国を念頭に置いていますが――、それは私たちにとって重要な原則に基づくべきです。一例が、公正な貿易に基づく原則です。世界秩序は一定の原則に基づいて構築されてきました。そして、私たちは、経済的利益を犠牲にしても、原則を離れるべきではありません。そうすれば、私たちは、私たちの経済の競争力に起因する一定の優位性を持つことになります。もしも私たちが、これらの原則を放棄し、条約以外の原則に従えば、私たちはこの優位性を失うことになるでしょう。同時に、私たちは基準と価値の担い手であるEUとしての信頼も失います。

仮に私たちがヨーロッパの価値観、私たちを導くすべての理想について話すことだけに集中し、実質的に扉を閉ざした後、何か別の異なる行動を策定したとすれば、他の相手国にそれらについて話す理由があるでしょうか? 

PP――17+1の枠組みでの私たちの存在は、中国に対するEU政策の策定に関して時間が言われたことを背景にすると、どのように位置づけられますか? この枠組みはEUレベルでの関係を補完する、あるいは部分的に代替するものでしょうか? ポーランドは批判にどのように対処しますか? 例えば、ドイツの政治家の中には、この枠組みに懐疑的な人たちもいます。

MP――私たちは、すでに、ヨーロッパの主要プレーヤーによって独占的に考案され、作成され、制御されていない、ヨーロッパ諸国に関するプロジェクトはいかなるものであれ、彼らの批判に遭うことにすでに慣れてしまいました。しかし、加盟国は、EUの排他的権限を超えて、己れの政策の最優先課題を決定する権利を有します。外交政策は依然として加盟国の専門領域であり、EUレベルではそれを調整することができるが、一部の国々が己れの利害を実現し、別の国々が、たとえ欧州の利益に反していなくても、地域協力に対して批判される、といったことがあってはなりません。欧州の政策は、地域協力と二国間関係の完全な代替手段ではないはずだからです。ポーランドは、2012年にすでに、現政権ではなく、前政権時代に、ギリシャの加盟前に16+1と呼ばれる枠組みを共同作成し、そのホスト国になることを決めました。ドイツ、フランス、オランダ、英国などの国々は、中国との純粋な二国間協力を活発化しています。彼らはポーランドに、意見を求めませんでした。私たちは、EU及び二国間レベルでの中国との協力も、そのような地域的な形式によって補完されるべきであると考えました。ただし、この枠組みを透明化することが私たちにとっては、重要です。ポーランドはこの枠組みを構築することは価値であると認めましたが、私たちは常に、それが補完的な取り決めであり、ヨーロッパ統一を害するものではないことを、強調していこうと努めています。

連合を分割しようとする試みであるとのいわれのない非難は、最大の相手国によって支配されていないとき、EU内部に現れる枠組みであればどれに対してでもなされます。私たちが、ヴィシェグラード・グループ(V4)の枠組み内での協力を活発化すると、常に、EUの団結の解体であるという議論が登場します。しかし、V4に加盟しているのはEU加盟国のみであり、その目的は私たちの政策の調整です。この状況は、「三海イニシアチブ」、すなわち12のEU諸国の非公式な協力の形式について話題になるときも同様です。ポーランドは、このプラットフォームにはEU諸国のみを含めるべきだと強く主張しています。しかし、ときに、西側相手国国から、このプロジェクトがEUの団結を打破しているという非難が現れます。私たちとしては、このプラットフォームを欧州の政策と一貫して保つように、尽力しています。

しかし、中央ヨーロッパが西ヨーロッパとはときに異なる課題と対峙しなければならない、という事実に目を塞ぐことはできません――例えば、インフラや非ヨーロッパ経済との貿易水準という文脈においては。

外交政策は地図を見ながら行う方がよいのです。中央ヨーロッパの道路と鉄道網の地図を見て、西ヨーロッパと比較するだけでも十分です。政治的見解に関係なく、誰もが格差に気付くでしょう。私たちは、地域のこれらの物流問題と文明の遅れを地域レベルで解決しようとしている、などという非難を受けるべきではありません。

私たちは新しい可能性を探していますが、それは――ここで欧州政治について、ついでに述べさせていただきますが――西洋先進国が支配するEUは、体制変革の当初から、とりわけ商業的利益にとって重要なインフラネットワークの構築を助けてきました。どうぞご覧ください――東から西に向かい、ポーランドを経由して東ヨーロッパを結ぶA4高速道路は、例えばカルパティア道よりもはるかに速く建設されたことがわかります。そして、ベルリンへのA2高速道路もまた、これらの南北の道路や鉄道ルートより先に完成しました。西ヨーロッパへの接続は私たちにとって重要ですが、南北線のインフラネットワークは、バルト-アドリア海の接続を含め、同じくらい重要です。というわけで、「三海イニシアチブ」の枠組みの中での協力強化の決定が下されたのです。

16+1の枠組みに参加するとの決定は、こうしたデータと個々の国の対中国貿易における格差拡大への意識から行われました。政府関係者として、私たちは、中国との協力のこの枠組みを、ポーランドの地位と認知度を構築するためだけでなく、可能で安全な投資プレゼンスについて議論するために利用しようと努めています。しかし、私たちにとって重要なのはグリーンフィールド投資である、と常に強調しています。私たちは、最も収益性の高い企業の売却に基づく協力には関心がなく、ポーランド経済のさらなる発展にプラスの影響を与える方法論と技術をもたらす、安全な資本誘致に関心があるのです。

17+1については、私たちは、中国を含む相手国と、この8年間の一定の総括を行うことを目指して、活発な対話を行っています。何ができたか、何ができなかったか、考えなおしてみる価値があります。私たちは、この協力の評価を提出する、然るべき合図を北京に送っています。私たちには、相変わらず、経済協力の枠内においてまだ十分に活用されていない潜在力可能性が目に見えているのです。これはまた、中国という相手国にとっては、この協力に何を期待するかを彼らに考えてもらう、私たちからの合図でもあります。私たちの期待は明確です。私たちは過去2世紀の歴史に起因する遅れを取り戻したいと考えており、さまざまな相手国にもそれを勧めています。

ここで述べた、すべての地域協力枠組みは、私たちが定義した課題への答えであり、その活力はなくてはなりません。しかし、私たちにとって肝心要の協力枠組みは当然EUであり、この点において、何一つ変更はないでしょう。

KZ:次官が言われたことは、連続性と上記枠組みが今後も存続するという点で、重要です。私が次官の以前の声明を正しく理解していたとすれば、私たちは私たちの国のアジア政策が過度に中国中心的にならないことを望んでいる、と理解しています。それでは、アジアで2番目に大きい国、すなわちインドに目を向けましょう。私たちは、V4グループの議長国です。それに加え、インドは今や、ヨーロッパは「諸地域から成るヨーロッパ」であり、思ったより多心的であると考えているようです。すなわち、ヨーロッパはベルリンとパリ以上のものであると。私たちのユーラシアの協力理解とインドのヨーロッパ理解が合致する可能性はあるでしょうか? 例えば、長年ポーランドを訪れていない、インド首相をポーランドに招待する、といったかたちで?

MP――はい、それは客観的に言って、一つの難題です。一方で、私たちはインドの大きな可能性を認識し、政治的・経済的対話を活発化する多くの機会を見ています。それは大規模で吸収力のある経済であり、部門によっては、競争力のある経済でもあります。私たちはまた、亜大陸での私たちのプレゼンスを高めようとしています。私は自ら、ニューデリーへの新航路の航路開きを行いました。その当然の目的は、ポーランド、ポーランド、ポーランド・ビジネスのインドでのプレゼンスを強化することです。私たちは、私たちの国がまだインド人に完全に知られていないことを認識しています。彼らの興味と認識の地図には、必ずしもポーランドが含まれているわけではありません。そのため、あらゆる機会を利用して私たちの認知度を広げようとしています――歴史・文化政策の要素を通してもです。良好な土壌となるのは、第二次世界大戦中の歴史です。私たちは、ジャム・サヒブ・ディグヴィジャイシンジ、いわゆる「善きマハラジャ」によるポーランド児童への援助です。児童は、シベリアという地獄からまっすぐインドに向かったのです。2019年には、私たちは、インドで、この歴史に関連する一連の催しを開きました。大人気でした。私たちの投資プレゼンス、貿易交流が強まり、商工会議所が機能し、ボリウッドはポーランドで映画を撮影し、観光客の往来は昨年まで高い割合で増加していました。これは、ポーランド・ インドの基本政策を構築する大きな可能性を示しています。

私はあなたがたが、トップレベルの往来を実現できるかどうか、という問いに対する具体的な答えを期待していたと理解しています。私たちはここで一連の活動を行っており、私は最近、インドとの協力に注目するよう、この文脈で、V4の相手国たちと話しました。私たちの側とインド側ではトップレベルの往来についての話が行われています。2021年にポルトで、インドと欧州連合(EU)の首脳会議が計画されていたことも思い出しておく価値があります。2020年秋に開催される予定でしたが、2021年に延期されました。それを前にして、カンボジアで欧州・アジアASEMサミットが間もなく開催されます。私たちのアジア国首脳たちとも、ナレンドラ・モディ首相とも、協議を続けるよい機会でしょう。また、ニューヨークでの国連総会の9月のセッションもあり、そこでも対話の機会が現れるはずです。こうした窓口は、いくつかあります。

ニューデリー当局の政策は人的交流に集中しており、これまでそれは大国との活発な関係に集中していました。一方では中国やロシアとの関係、他方では米国やEUとの関係です。インド政治で主要な場所を占めてきたのは、日本、韓国、オーストラリアなどの経済的大国です。ヨーロッパでは、当然ながら英国が、200年以上にわたりインド人の最大の相手国でした。これに加えて、ベルリン、パリ、モスクワも重要な相手国でした。

私たちはこのような文脈で動いています。小国は必ずしも認識されていたわけではありません。私たちの役割は、ポーランドの潜在力がいかに大きいか、私たちがいかに興味深い文化を持っているか、私たちの経済がいかに安定しているか、反映しているかを示すことに基づいています。最近数年、ポーランド外交はこの課題をよく果たしています。

アジアにおけるポーランドに関する知識について話すとき、私たちは自分自身に尋ねてみるべきです――私たちはアジアについて何を知っているか? ポーランドの企業家、アナリスト、政治家、ジャーナリストと話をすると、アジアの可能性に対する認識はまだ低すぎます。より強烈な存在は、より大きな関与と関与を必要とします。実を刈り取るには、まず種を蒔かなければならない。これは私たちの多くの人々の間でメンタリティの変化を必要とします。したがって、ポーランド側にも勇気と関心が必要です。これらをもとにして初めて、アジアにおいて、政治、経済、文化のレベルでより強いプレゼンスを考えることができるのです。

こうした理由から、私はこうした対話を行うことを非常に嬉しく思います。この分野の専門家やアナリストの活動は非常に有用です。私たちは皆、厳密に欧州中心主義的な思考から少し離れる必要があります。これは1990年代において明白であったことであり、ポーランドの起業家がEU相手国のヨーロッパ市場や政治家に焦点を当てた2004年以降はさらに明白です。こうした意味での欧州中心主義は事実であって、これを否定すべきではありません。しかし、新しい相手国を探す必要もあり、アジア諸国は有望な相手国です。というわけで、私たちはもっと大胆になろうではありませんか。

 

マルチン・プシダチ:外務省次官(安全保障、アメリカ、アジア、東方政治担当)

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